若手×ベテラン座談会

情熱トーーーーーク!!
建築板金の仕事って面白い!!

情熱トーーーーーク!!建築板金の仕事って面白い!!

これから未来へと踏み出していく皆さんに聞きたいことがあります。

どんな職業に就きたいですか? どんな大人になりたいですか?社会には、想像する以上に実にさまざまな仕事があります。

はなやかに映るものもあれば、堅実に歩んでいるように見える職業もあるでしょう。

はたして “建築板金” の仕事は、皆さんの目にどう映るのでしょうか?

第一線で活躍する若手・ベテランに、建築板金の世界について語り合ってもらいました。

若手

  • 中川板金工業所 中川 一也

    中川板金工業所

    中川 一也

    完成形は同じでも、アプローチは職人一人ひとりで違うのが、建築板金の面白いところ。個性が発揮できる仕事です。

  • (株)越野錺工所 越野 巧

    (株)越野錺工所

    越野 巧

    建築板金の仕事は本当に魅力的です。だまされたと思って(笑)、一度、体験してみてください。

  • (株)山一錺工所 山本 達也

    (株)山一錺工所

    山本 達也

    若いころのまわり道は決してムダではありません。つまずいたとしても、自分の挑戦したい道に進んでください。

ベテラン

  • (株)越野錺工所 越野 巧

    石川県板金工業組合
    理事長

    越村 正志

    業界は働きやすい環境にどんどん変わっています。即戦力になれるよう、私たちも成長をバックアップします。

  • (株)山一錺工所 山本 達也

    石川県板金工業組合
    副理事長

    永井 紀久

    建築板金業は独立開業する人も多い仕事です。当社でも5年働き、巣立った仲間がいます。夢を描いて挑戦してください。

  • 中川板金工業所 中川 一也

    石川県板金工業組合
    副理事長

    越野 正

    完成したときの達成感は建築板金の大きなやりがい。多くの人にその魅力を知ってもらいたいです。

  • (株)山一錺工所 山本 達也

    石川県板金工業組合
    副理事長

    林 高史

    ものづくりに興味があるならば、建築板金業を検討してみてください。好きなことをとことん追求できるはず。

  • 中川板金工業所 中川 一也

    石川県板金工業組合
    専務理事

    瀬戸 政彦

    建築板金は自分で段取りし、自分で考えて仕事をします。やり方次第でプライベートの時間も十分につくることができます。

いくつになっても変わらない
カタチに残る仕事にやりがい

― 今日は、石川の建築板金業界を長年支えてきた石川県板金工業組合の役員の方々と、30代以下の若手に集まっていただきました。まずうかがいたいのが、建築板金という仕事の魅力について。若手の皆さんは、どこにやりがいを感じていますか。

山本建築板金には、多種多様な金属材料を加工し、屋根をふいたり、外壁や雨どいを設置したりと、幅広い仕事があります。現場も違えば、取り付け方も多彩です。単調な流れ作業ではなく、毎日いろいろな仕事ができる点を魅力に感じています。

越野(巧)同感です。住宅もあれば、店舗もあれば、工場もある。毎日違う現場で働けることが楽しいですね。夏暑く、冬寒い点を気にする人もいるかもしれません。ただ、私は体質的にあまり気にする方ではなく、むしろ屋外で汗を流すことが気持ちいいですね。今はまだ勉強することが多く、一人で任された現場をベテランの職人に褒めてもらうとうれしくなります。

中川私はやはり、カタチに残る仕事にやりがいを感じています。子どもと出かけたとき、たまに自分の手がけた現場を通ることがあります。そんな時は、「ここ、お父さんが作ったんだぞ」って自慢してしまいます(笑)。もちろん、施工後にお客様に「きれいになった。ありがとう」と感謝の言葉をかけてもらえるのも、大きな励みになっています。

山本確かに、“カタチに残る”ことはうれしいこと。私も、金沢城公園の鼠多門・鼠多門橋復元工事に携わった経験は忘れられません。自ら手を挙げ、庇部分を担当させてもらいました。当時は入社2年目、技術的に苦労することもたくさんありましたが、何とか完成させることができました。

越村若手のみんなが話してくれたように、「信頼して任せてもらう」「カタチに残る」ことは、建築板金業の魅力です。しかも、その喜びはベテランになった今も色あせることはありません。私も孫を連れて歩くとき、担当した物件を見つけると、「ここ、おじいちゃんがしたんや」と話しています(笑)。半面、カタチに残ることは責任感も伴うもの。「いい仕事をして当たり前」という職人の世界でもあります。

永井私たちが手がけるのは人の目に触れる箇所であり、現場一つひとつが自分の作品とも言えるわけです。ただ、決して一人で作っているのではなく、お客様やほかの職人さんなど、たくさんの人との協力が不可欠。コミュニケーションが大切であり、“人が好き”という方に向いている仕事です。

瀬戸私もそう思います。わが家は祖父の代から建築板金業を営んでいます。中高生のころは、朝早くから夜遅くまで働く父を見て、「なぜこの仕事を続けているのだろう」と理解できませんでした。ですが、父の跡を継ぎ、この世界に長年、身を置いて分かりました。建築板金には人と人とのつながりが欠かせません。感謝の気持ちにあふれた現場で働けることに、大きな魅力を感じています。

越野(正)若手の皆さんも話していたように、単調な作業の繰り返しではありません。だからこそ、いかにきれいに、効率よくできるか、“考える”ことが大切であり、面白いところ。私自身、これまでを振り返ると、毎日違う現場で頭を悩ませ続けてきたことが、誰にも負けない技術力につながったと思っています。

そんな毎日を積み重ねていくと、自然と体が動くようになってきます。多岐にわたる現場で、どのように対応してきたか――。手が覚えているのでしょう。こうなると、何も難しいことはありません。どれだけ忙しくても、仕事を苦に感じることはないですよ。

若手×ベテラン座談会イメージ

技術力向上に知ったかぶりはNG
効率を考え、経験を重ねていく

― 越村理事長が話されていたように、建築板金業は職人の世界です。技術力が求められる仕事であり、皆さんはスキルアップに向けて、どのようなことを意識していますか。

中川私の場合、どうすれば効率よく仕事できるかを常に考えています。効率よく進めることができれば、仕事に余裕が生まれます。それが現場に欠かせない安全にもつながります。

確かに、仕事をする上でスピードは重要です。ゆっくりで、丁寧・きれいは少し仕事を覚えれば誰でもできる。いかに早く、ムダなく仕上げていくかが利益に直結しますし、職人に求められる要素だと思います。

越野(正)そのためにも、考えを巡らすことをやめてはいけません。どうすればいいか、まずは自分でアイデアを出す。さらに、若手・ベテランの垣根を越えて意見を交わすことで、板金に必要なノウハウを高められると考えています。

瀬戸一人ではなく、職人同士で高め合っていく。その観点で見ても、現場は勉強する上で最良の場所です。何人もの建築板金工が集まって一つの施工を手がけることがよくあります。不思議なもので完成形は同じでも、そこに至るアプローチは職人によって全然違います。技術は目で見て盗むもの。「どんな手順を踏んでいるか」「どんな道具を使っているか」、参考になるものは積極的に採り入れてきました。

中川私は県板金工業組合の青年部に所属しています。県外の青年部と交流する機会も多く、その際に知った新たな手法を仲間にアウトプットするようにしています。建築板金業界では職人同士はライバルでありながらいい仲間です。ともに技術を高めていければと思っています。

その通りです。県板金工業組合は情報交換し、新たな知識・技術に触れられる場所になっています。職人同士、担当した現場の写真を見るだけでも、学べることがたくさんあります。

越村自分自身の職人人生を振り返ってみても、金沢職人大学校に3期生として入校して仲間と腕を磨いたり、たくさんの職人と一緒に現場をともにしたりしたことが成長につながりました。今でも分からないことがあれば、若手に教えてもらうこともあります。この仕事で、知ったかぶりほど残念なことはありません。組合には腕に覚えのある心強いベテランがたくさんいます。ぜひ頼りにしてください。

越野(巧)理事長がおっしゃる通り、現場でもベテランの仕事はとても参考になります。先を見て、全体を考えて、生産性を高めていく。新たなことにもどんどん挑戦させてもらい、早く技術力を高めていきたいです。

山本私も多くの場数を踏み、もっと技術力を磨いていきたいと思っています。並行して、自分一人でもできる練習も続けていきたい。いま建築板金1級技能士の国家資格取得に向け、仕事終わりに製図などの勉強に力を入れています。

永井それはいいことです。覚えた技を繰り返し、練習して完全に修得することが、現場でも役立つはずです。私は技能検定の検査員も務めています。試験中、合格する人、しない人の違いは明らか。課題に対してどれだけ練習してきたかが、はっきりと表れます。手を繰り返し、動かして体に覚えさせることが技術力アップにつながります。

認知度向上が不可欠
挑戦しやすい土壌づくりを

― 少子高齢化が進む中、多くの業界が人手不足に悩んでいます。建築板金業界も例外ではありません。人材確保に向けて、取り組むべき課題はどこにありますか。

越野(巧)一番の課題は、認知度不足ではないでしょうか。建築業をめざしたいと考えたとき、まず思い浮かぶのが大工さんです。建築板金という仕事そのものが知られていない実情があると思います。

越村スーパーマーケットや公共施設など、街中にある大きな建物を見れば、屋根や外壁など目につきやすい場所に板金が使われています。にもかかわらず、この職業について知られていないのはとても残念です。

建築板金業を知っていたとしても、「夏は暑く、冬は寒いので大変ですね」と言われることがよくあります。実際、仕事内容がきつい一面はありますが、当然、そればかりではありません。この仕事でしか得られないやりがいが数多くあるのに伝わっていないのは、業界に長年身を置く立場として反省するところでもあります。

越野(正)建築板金の魅力を知ってもらうには、やはり仕事を経験してもらうのが一番です。以前、息子(巧さん)に誘われて友達が入社しました。彼は最初から建築板金に興味があったわけではないのですが、働く中で面白味を知り、今では貴重な戦力になっています。今回制作するパンフレット(本誌)などを入口に、多くの若者に興味を持ってもらいたいですね。

永井確かに、今まで以上に建築板金業のPRに本腰を入れていく必要はあると思います。もっと言えば、何も「建築板金」という言葉にこだわらなくてもいいかもしれません。「屋根屋さん」「外壁屋さん」などのイメージからでも、まずは知ってもらうことがスタートです。

瀬戸その一環としても、県内各地の小学校への出前講座「子どもマイスタースクール」などにより一層、力を入れていくことが大切です。また、コロナ禍で中止となりましたが、組合員が高校に出かけ、建築板金の仕事をPRする案もありました。これらの取り組みはすぐに芽が出るわけではないでしょう。ただ、種をまかなければ芽吹くこともありません。地道に周知していくことが将来を見据えた課題解決の一手です。

越野(巧)仕事を体験してもらい、建築板金の面白さに、少しでも触れてもらいたいですね。そのためにも、インターンシップをもっと積極的に採り入れたり、実践に即した体験メニューをそろえたりするアイデアも必要だと思います。

永井私は、女性の進出がもっと進んでもいいと考えています。体力面など男性・女性で違いはあるでしょう。ですが、得手不得手があるのは性別に限った話ではありません。中には女性の方が男性よりも適している現場もあると思います。受け入れる私たちが選択肢を狭める必要はありません。

瀬戸おっしゃる通りで、「建築板金業をしてみたい」と手を挙げた人が、しっかりと働ける土壌を業界全体でつくっておくことが大事だと思います。

中川そのためには、時代に合わせた変化も重要です。職人技術はカンコツに頼る部分が大きく、マニュアル化は難しいかもしれません。特に、建築板金業は一人ひとりで仕事の方法も違います。一方で、スマホがあれば簡単に動画撮影ができ、言葉にしにくい加工技術も映像で伝えられます。

山本「どうすれば建築板金に興味を持ってもらえるか」少し前に、妻と話したことがあります。そのときに妻から出た提案の一つがSNSの活用です。若者にとって当たり前となったSNSで情報発信していくことも、建築板金をより深く知ってもらう一歩になると思います。

越野(正)時代に合わせた変化として、働きやすい職場づくりに取り組む会社も増えています。かつては土曜も働くのが一般的でしたが、当社では今年から土曜は休日にし、出勤してもらう場合は特別手当を支給しています。ほかにも、風通しをよくしたり、若手の声を聞いてユニフォームを作ったりしました。

越村建築板金は奥が深く、面白い。たとえ興味がなかったとしても、畑違いの業界で働いていたとしても、一度、触れてもらえれば仕事の面白さは十分に分かってもらえるはずです。加えて、越野(正)さんが話されたように、働き方もひと昔前からは大きく変わりました。かつては厳しい修業が必要なイメージでしたが、今はそんなことはありません。安全面への意識も年々、高まっています。建築板金業に興味がわいたら、ぜひチャレンジしてみてください。

若手×ベテラン座談会イメージ